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コラム

2021.02.26

婚前契約書のメリット・デメリットを押さえて幸せな結婚生活に。作成時の手順も

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婚前契約書とは、夫婦になる予定のふたりが結婚前に取り交わす契約です。適切に作成すれば法的効力もあり、不安なく結婚生活を送れます。ふたりでしっかり話し合い、互いに納得できる契約書を作りましょう。この記事では、婚前契約書作成によるメリットやデメリット、さらには作り方や押えておきたいポイントを紹介します。

婚前契約書の種類と法的効力

契約書を見せる女性
婚前契約書を大別すると私文書と公正証書のふたつがあります。それぞれどのようなものなのか、詳しく見ていきましょう。

私文書

私文書は、「私」という文字が入ってはいるものの、正式な契約書です。法律に則って定型通りに作られたものをさします。私文書にはふたりで署名・捺印を入れますが、これだけではさほど法的効力はありません。法的効力を高めるなら、第三者の立ち会いと署名・捺印を求めると良いでしょう。

また、私文書でも公証役場で認証手続きをしたものは、高い法的効力を持ちます。「私署証書認証」「宣誓認証」などと呼ばれるものは、20年間公証役場で保管される決まりです。
それなら、公証役場で婚前契約書を作れば良いと思う人がいるかもしれませんが、手数料や費用は安くありません。加えて、作成までに3ヵ月程度かかります。

公正証書

公正証書は、公証人が公証人法の定めた手続きに従って作成する文書です。公証人とは、法律の専門家。彼らによって作成された文書は、私文書よりも遙かに高い法的効力を持ちます。

例えば、財産問題でもめた場合などは、公正証書があれば強制執行することも可能です。こちらも20年間公証役場で保管され、希望すれば期間の延長もできます。ただし作成までには時間が必要で、4ヵ月程度かかります。

婚前契約書を作成するメリット・デメリット

ファイルを見る女性
婚前契約書を作成することで、お互いの価値観を知ることができます。しかし、人によっては作成の理解を得られないことも。まずは婚前契約書のメリット・デメリットを確認しましょう。    

メリット①結婚前にお互いの価値観や考えが分かる

婚前契約書を作る時は、結婚後のさまざまなシーンを想定する必要があります。お互いの価値観や考え方を知る良い機会となり、より深く相手を理解しやすくなります。

結婚前に深い話をしていなかったカップルほど結婚後のギャップに苦しむものです。特にお金の価値観のズレは、そう簡単に修正できません。婚前契約書を作りながら相手を見極められるのは、非常に大きなメリットです。

メリット②万が一離婚となってもトラブルを抑えられる

離婚する時は、財産分与でもめるケースが少なくありません。最悪の場合は裁判にまで発展し、泥沼化することがあります。

ところが、結婚前に婚前契約書で財産についてきちんと取り決めをしておけば、財産は契約内容に従って処理されます。というのも、婚前契約書にある財産に関する契約は民法よりも優先されるためです。あまり望ましいことではありませんが、婚前契約書があれば「離婚したい」と思った時の手続きも比較的スムーズです。

デメリット:相手の理解を得られないことがある

日本では、「結婚するから契約書を作る」という人はまれです。まだまだ婚前契約書という考えが浸透しておらず、「婚前契約書」と口にするだけで相手が拒否反応を示す恐れがあります。

婚前契約書を作成するとなれば、どうしても離婚の話や財産分与の話が必要です。「財産については…」などと口にすれば、打算的とみなされてしまうかもしれません。相手が婚前契約書について理解を示してくれない場合は、ふたりの間に溝ができケンカになってしまうことがあります。

婚前契約書の作り方・手順

契約書をチェックしてもらうカップル
婚前契約書をスムーズに作成する上で、流れを確認しておくことは大切です。契約書の作り方や手順を見ていきましょう。

婚前契約書に入れる項目を話し合う

まず、婚前契約書に入れる項目を話し合います。せっかく婚前契約書を作るなら「財産に関する取り決め」「家事・育児の分担の取り決め」「不貞行為があった場合の取り決め」などは、ぜひ入れておきたいところです。

ただし、片方が望んでも、相手が拒否をすれば入れられません。婚前契約書の項目や内容については、お互いの合意が必要です。ふたりの意見や価値観が食い違う場合は、時間を取ってずれを修正していく必要があるでしょう。

実際に契約書を作成する

婚前契約書に記載する項目が決まったら、いよいよ本格的に契約書を作成します。契約書にある程度の法的効力を持たせるには、法律に則った内容かつ定められた様式に従って書かなければなりません。例えば、「修正があった場合は二重線で修正・押印する」、「契約書の最後にはふたりで署名・捺印する」などを徹底しましょう。

また、知識のない人が白紙から婚前契約書を作るのは難しいかもしれません。作成の際は、弁護士事務所などが提供しているひな型を利用するのがおすすめです。

リーガルチェックを受ける

婚前契約書を作成しても、不備があれば法的効力がありません。もしもの時に効果を発揮できるよう、法の専門家に内容をチェックしてもらいましょう。相談先としては、行政書士や弁護士があります。

なお、私文書はこれ以上の工程はありません。作成した契約書は大切に保管しておいてください。

婚前契約書を公正役場に持参する

婚前契約書を公正証書にする場合は、作成した契約書を公証役場に持参しなければなりません。公証役場は全国に約300ヵ所あるので、管轄区の役場に足を運びましょう。

また、公証役場によっては予約無しでは受けつけてくれないところもあります。婚前契約書を持参する時は、事前に予約の要・不要を確認しておくことをおすすめします。

なお、婚前契約書を公正証書にする際は、本人確認できるものと手数料が必要です。手数料は契約書に記された財産や慰謝料の金額によって上下し、およそ15,000~17,000円が必要です。金額は法律によって定められているため、それに従ってください。

後悔しない婚前契約書を作成するためのポイント

計算しながら交渉する人
婚前契約書は結婚後の生活に大きく影響するものです。後悔のない婚前契約書にするにはどのような点に注意すれば良いのでしょうか。

婚前契約書に法的効力があることを理解した上で内容を決める

婚前契約書の内容を変更するにはふたりの合意が必要です。ふざけて「浮気したら1億円」などと決めてしまうと、もしもの時本当に支払う義務が発生します。財産について契約した事柄は、結婚後の変更が不可能です。安易に考えず慎重に検討してください。

必ず結婚前に作成する

婚前契約書は、名前の通り「婚前」の作成に意味があります。日本の法律では、夫婦間で取り決めた契約は片方の意志で破棄して良いことになっているので、結婚後の契約はいつでも取り消せてしまいます。これではせっかく契約書を取り交わしても意味がありません。ふたりの意志と権利を確実に守れるよう、契約書は入籍前に作成しておきましょう。

婚前契約書を交わして不安のない結婚生活をおくろう

契約書を持って微笑むカップル
婚前契約書を作成すれば、結婚後してからの生活の不安を解消しやすくなります。お互いに「してはいけないこと」「気をつけるべきこと」が理解でき、決意を持って結婚生活に望めます。婚前契約書の種類は私文書と公正証書がありますが、法的効力を高めたいなら公正証書がおすすめです。結婚前にしっかり話し合い、お互いの価値観や考え方への理解を深めましょう。    

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