花嫁の着物の柄には意味があった! 結婚式で着る和装の選び方を解説
日本の伝統的な衣装である着物は、色鮮やかで美しく、品格があり、花嫁が結婚式で身に纏(まと)う衣装としても人気です。着物は色も柄も豊富で、それぞれが持つ意味も異なります。本記事では花嫁が着用する着物の柄が持つ意味を解説し、結婚式で着る和装の選び方、似合うヘアスタイルを紹介します。
花嫁の着物の柄が持つ意味
色とりどりの柄が美しい着物。花嫁の身に着ける着物には、吉祥文様(きっしょうもんよう)と呼ばれる縁起が良い伝統的な柄が描かれていることが多いです。まずは伝統的な吉祥文様や結婚式にふさわしい着物の柄について、それぞれの持つ意味を紹介します。
人生のスタートを意味する桜
日本の国花である桜は、定番の着物の柄です。桜が舞う春には多くの花が芽吹くため、春の象徴と考えられており、縁起が良く人生のスタートを意味する吉祥文様でもあります。古くは、桜の開花が農家の人々の種まき時期の目安になっていました。さらに桜の「さ」は田の神や穀霊(こくれい・穀物に宿るとされる精霊)を、「くら」が神のいる場所を意味していたことから、五穀豊穣の象徴であるとも考えられていたようです。
長寿と夫婦円満を象徴する鶴
鶴は千年とも言われるように、鶴の柄は長寿の象徴とされる吉祥文様です。鶴は夫婦になると同じ相手と一生添い遂げる習性があります。そのため、鶴は夫婦円満の象徴であるとも考えられています。花嫁の着物に描かれる鶴は、2羽以上であることが一般的です。鶴の柄は、結婚式の色打掛でも定番です。
安産の願いも込められている松竹梅
松竹梅は、歳寒三友(さいかんさんゆう)とも呼ばれ、忍耐力や美しさを象徴する吉祥文様です。松は厳しい環境でも育ち、真冬でも深緑の葉を付けている植物。竹は、寒さにも負けずまっすぐ伸び、梅は寒い冬が終わると春一番に開花します。さらに、梅は「産め」と解釈され、安産への願いもこめられている柄です。それぞれおめでたい柄なので、1つずつでも使われるものです。
幸福と富貴(ふうき)を表す牡丹
「立てば芍薬(しゃくやく)、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」という言葉の通り、女性の美しさを表現する吉祥文様として人気の牡丹柄。牡丹は多くの大きな花弁を持つため、幸福や富貴さの意味を持ちます。大きな牡丹柄の着物はとても華やかで、花嫁を美しく見せてくれるでしょう。
平和と夫婦の調和を願う鳳凰(ほうおう)
鳳凰は、中国に伝わる想像上の鳥です。古くから中国では、鳳凰は平和で幸せな世界が訪れる時に現れるとの言い伝えがあるため、慶事を象徴する鳥とされてきました。「平和」と「夫婦の調和」を意味する吉祥文様で、華麗で格調も高い柄です。
末広がりで縁起の良い檜扇(ひおうぎ)
檜扇とは、薄い檜で作られた扇のことで、平安時代に十二単を着た姫君が持っていたものです。末広がりの形なので縁起が良いとされ、雅な雰囲気もある吉祥文様として人気があります。
花嫁の着物の種類
結婚式の花嫁衣装として和装は根強い人気がありますが、花嫁が結婚式で着る着物にはさまざまな種類があります。それぞれの持つ特徴や格式について解説します。
定番の和装「白無垢」
花嫁の婚礼衣装の中で最も格式高いのが、白無垢です。身に着けるすべてのアイテムは白で統一されています。白は、「純潔」や「嫁いだ家の家風に染まる」という奥ゆかしい意味を持つ色です。ただし、白無垢にも柄が入っているものもあります。入っている柄は、鶴、松竹梅などの縁起の良い柄が一般的です。
正式には「綿帽子」や「角隠し」と呼ばれるかぶりものを合わせますが、最近は白無垢に洋風のヘアアレンジを合わせるなど自分らしさを表現する花嫁も多いようです。
披露宴で人気の「色打掛」
白色ではない打掛を、色打掛と呼びます。色打掛は赤や金など色鮮やかなものが多く、柄もあしらわれており華やかな印象です。以前は白無垢より格下と考えられていましたが、最近は同格になってきており挙式で着用する花嫁も増えてきています。挙式で白無垢を着て、披露宴で色打掛にお色直しするのが定番です。
身軽に動ける「振袖」
振袖には中振袖、小振袖など種類がありますが、婚礼衣装として着るのは引き振袖です。着物の丈を帯で調整せずに帯をしめて、裾を引きずる形で着用されます。引き振袖の色は黒、赤、紫など和柄が映えるものが多いです。帯が見えた着こなしになるため、着物の柄との合わせ方や帯の結び方でもアレンジを楽しめます。和装の中ではややカジュアルなスタイルで、髪型も洋髪などがよく似合います。
着物に洋装を融合した「新和装」
着物にオーガンジーやチュールなどのドレス素材を取り入れたり、洋風の装飾を合わせたりした和洋折衷の花嫁衣装を新和装と呼んでいます。色は白をはじめ、ピンク、ブルーなどのパステルカラーが定番で、柄は花柄が多いようです。和装も洋装もしたいという花嫁を中心に人気を集めているスタイルです。ただし新和装では挙式ができない式場や神社もあるので、事前に会場に確認しておきましょう。
着物の色や柄の選び方
花嫁の着物の色や柄にはたくさんの選択肢があるため、どんなものを選んでいいか迷ってしまう花嫁もいるかもしれません。ここでは、結婚式で着用する着物の色や柄の選び方を紹介します。
目指すイメージで選ぶ
着物の柄にはそれぞれ意味があるため、自分のなりたい花嫁のイメージを思い浮かべると選びやすいかもしれません。例えば、いつまでも夫婦仲良く添い遂げたいなら鶴の柄を、新たな気持ちで結婚生活をスタートさせたいなら桜柄を選ぶなどです。凛とした印象の花嫁になりたいなら、黒を選ぶと良いでしょう。
体型で選ぶ
背が高い人は、大きめの柄が映えるのでおすすめです。反対に背が低い人は大柄だと背の低さが目立つため、小さな柄を選ぶと良いでしょう。ふくよかな体型の女性なら、濃い色を選ぶと引き締まって見えますよ。
顔立ちで選ぶ
目鼻立ちがはっきりしている顔立ちの人には、色柄もはっきりしているものが似合います。反対に優しい顔立ちの人には、パステルカラーや優しい色柄が似合います。また肌の色によっても着物の色との相性があるので、顔色が明るく見えるものを選んでみましょう。
着物に似合うヘアスタイル
身に着ける着物を決めたら、それに合わせたヘアスタイル選びもとても重要。伝統的な髪型からドレスにも似合う髪型まで、着物にぴったりのヘアスタイルをチョイスして和装の美しさをより一層際立たせましょう。
花嫁の伝統的な髪型「文金高島田(ぶんきんたかしまだ)」
乱れのない美しい毛流れと丸いシルエットが特徴の文金高島田。白無垢を身に着ける時は、この髪型にするのが定番です。まげの位置が高く、日本人女性の美しさを引き出してくれるスタイルです。ほとんどの花嫁は、自分の髪の毛を結うのではなくかつらを使います。文金高島田には綿帽子か角隠しをつけるのが基本です。
着物もドレスも着るなら「洋髪」
和装でもモダンな雰囲気を出したい花嫁には、洋髪がおすすめです。着物もドレスも着用したいという花嫁に人気があります。編み込みをしたり、アシンメトリーなアップスタイルにしたりなどアレンジは自由自在。自分らしいスタイルを追求したい人に選んで欲しいヘアスタイルです。
古風で清楚な雰囲気になれる「新日本髪」
伝統的な日本髪を現代風にアレンジした、新日本髪と呼ばれるスタイルも人気です。地毛を使うので、生え際が自然に仕上がります。文金高島田と比較するとボリュームもコンパクトであるため、着物とバランスもとりやすいでしょう。
着物の柄の意味を知って自分らしい花嫁衣装を選ぼう
結婚式の花嫁衣装である着物の柄は、夫婦円満や長寿、幸福などさまざまな意味を持っています。どんな花嫁衣装にしようか悩む時は、見た目の好みはもちろん、柄の持つ意味も考えながら選んでみましょう。着物に合わせるヘアスタイルもこだわって、自分らしさを表現した花嫁衣装を選んでくださいね。