結婚式に参列する時の着物の選び方①関係性で選ぶ
結婚式で着用する着物は、いろいろな視点から選ばなくてはなりません。例えば、新郎新婦との関係性によって選ぶべき着物の種類は異なります。まずは新郎新婦が親族の場合、友人の場合、職場の同僚や部下・上司の場合に分けて紹介します。
親族の場合
新郎新婦の親族として結婚式に参列する場合、ゲストを迎える立場に当たります。そのため格の高い装いをするのがマナーです。本人が既婚の場合は、既婚女性の第一礼装である黒留袖がふさわしいです。黒留袖とは、黒色の着物に家紋が入った着物のことを指します。
未婚なら色留袖、振袖を着るのが一般的です。姉の立場で振袖を着るのはふさわしくないのではと気にする人もいるようですが、年齢と両家の考え方で決めても良いでしょう。年齢の目安は30代前半までと言われています。
友人の場合
友人として着物で結婚式に参列するなら、華やかさや若々しさの感じられる着物を選びます。特にスピーチや受付を任されている時には、格の高い振袖が着用マナーです。未婚なら振袖、既婚であれば色留袖を着用しましょう。
準礼装である三つ紋や一つ紋の色留袖がふさわしいですが、ゲストとして参加する場合、新郎新婦の親族女性が身に着けている着物の格を超えないのがマナーです。色留袖は親戚側に見られることもあるので、迷ったら訪問着が無難と言えます。
職場の人の場合
新郎新婦の上司または後輩として結婚式に着物で参列する場合、格を大切にしてください。特に上司として参列するなら、新郎新婦に近い席が用意されることが多いです。他のゲストよりも格の高い着物を選ぶのがマナーと言えるでしょう。色留袖か訪問着を着るようにしてください。本人が未婚で同僚の場合は、振袖が良いですね。
結婚式に参列する時の着物の選び方②柄で選ぶ
着物には鮮やかで美しい絵柄が描かれていますが、それぞれに持つ意味があります。結婚式の着物の柄は吉祥文様という伝統的な縁起の良い柄を選ぶのがマナーとされています。ここでは結婚式にふさわしい着物の柄を紹介します。
代表的なおめでたい柄「松竹梅」
代表的な吉祥文様は松竹梅です。松竹梅は「生命」「長寿」を象徴し、それぞれがおめでたい意味を持つ文様。派手過ぎず、落ち着いた柄と言えるでしょう。
おめでたい席にふさわしい豪華な「宝尽くし」
その名の通り宝物を集めた吉祥文様で、福徳を呼ぶと言われています。描かれているのは宝珠(ほうじゅ)や打出の小槌、鍵、金嚢(きんのう)など、おめでたいものばかり。華やかさのある柄です。
末広がりで縁起の良い「檜扇」
檜扇(ひおうぎ)は末広がりの形なので、開運や繁盛のモチーフとされる檜扇。檜扇は平安時代に十二単を着た姫君が持っていたものでもあります。雅やかで、高貴で風情ある印象を与える吉祥文様です。
末永い幸せを象徴する「鶴亀」
長寿の象徴である鶴や亀は、幸せが長く続くという意味が込められた吉祥文様です。花嫁が身に着けることも多い柄でもあります。鶴は同じ相手と一生添い遂げるため、夫婦円満のモチーフでもあります。
結婚式に参列する時の着物の選び方③色で選ぶ
結婚式で着物を着用する場合には、色選びも大切。最も気を付けたいのは、花嫁と同じ色の着物を選ばないことです。赤や朱色などの華やかな色を着ることが多いですが、前もって着用する予定の着物の色を聞いておくと安心です。できれば新郎新婦の親族とも被らない色が望ましいでしょう。ここでは結婚式の着物の色の選び方を紹介します。
ピンク色
ピンクの着物は上品で華やかさがあります。誰にでも似合いやすいので、着物慣れしていない人におすすめです。トーンを抑えたピンク色なら、年齢問わず着られるでしょう。
灰色
一着持っておくと便利なのが灰色の着物です。さまざまなトーンがありますが、明るめの灰色を選ぶと良いでしょう。控えめな印象ですが、帯や小物で華やかさをプラスすればおしゃれに見せられます。
水色
トーンを抑えた淡い水色も素敵です。上品でやわらかな印象を与えてくれます。落ち着きすぎず華やかさも感じさせる色で、年齢が上がっても着られるため持っておくと重宝しますよ。
結婚式に参列する時の着物の選び方④小物
結婚式で着物を着る時には、着物だけでなく合わせる小物にも気を配りましょう。ここでは、結婚式で着物を着る時に必要な小物と選び方を紹介します。
帯と帯締め
結婚式では帯や帯締めも格式が大切です。帯の中でも格式が高いとされる袋帯を選ぶようにします。袋帯とは、表地と裏地が異なる2枚の生地で作られているものです。華やかさを感じさせる金糸の帯や吉祥文様をあしらった帯が良いでしょう。
帯締めは帯の上に巻くアイテムです。こちらも金糸でできたものを選ぶと良いですね。友人として結婚式に着物で参列する場合は、好きな色の帯締めで構いません。色合わせに迷ったら、着物と反対色のものを選ぶと合わせやすいです。
バッグ
着物と合わせるバッグは、貴重品が入る小ぶりで華やかなバッグを選びます。デザインには決まりがなく、ハンドバッグタイプでもクラッチバッグタイプでも構いません。ただし礼装用ではない普段使いのバッグは避けてください。ビーズやパールがあしらわれた華やかなものも、良いでしょう。着物と調和が取れていて礼装用であれば、洋装兼用でも使えます。
靴
着物に合わせるのは草履です。白い足袋を履きます。台の高さが高めのものがフォーマルとされ、5センチ前後がベストです。かかとが高い方が、着物の裾を引きずりにくいのでおすすめです。
台と鼻緒が同じ色かつ素材のものがフォーマルとされています。結婚式には金や銀を基調とした華やかなものを選びましょう。ただし着物に合わせて、淡い上品な色味のものを選んでも構いません。
ジュエリー
和装の時はジュエリーを着けないのが基本です。ただし、結婚指輪や婚約指輪は着けても良いとされています。ピアスは小ぶりなものであれば良しとされる場合も多いようです。
結婚式での着物を着る時の立ち振る舞い
せっかく着物を着て結婚式に参列するなら、立ち振る舞いにも気を付けましょう。着物を着ている時に美しい立ち振る舞いをすることも、マナーの1つと言えます。ここでは結婚式で着物を着る時の立ち振る舞いについて、押さえておきたいポイントを解説します。
姿勢を正す
着物を着た時に最も気を付けたいのが姿勢です。常に背筋をピンと伸ばすことを意識しておきましょう。
動きを小さくして着崩れを防ぐ
着物は大きな動きをすると着崩れしやすいです。普段の動作を小さく細やかにすることを心がけてください。例えば歩く時は歩幅を小さく内股ぎみにします。座る時は、帯が崩れないよう気を付けながら浅く腰かけます。
袂に気を配る
洋装と着物の大きな違いは袂です。手を伸ばす時などは、反対の手で袂を持つようにします。特に食事の際は注意してください。袂が料理についてしまわないよう、気を配りましょう。
結婚式で着物を着る時にふさわしい髪型
着物を着る時に意外と迷ってしまうのがヘアスタイル。洋装の時とは異なり、着物には着物に似合うヘアスタイルがあります。最後に結婚式で着物を着る時にふさわしいヘアスタイルを髪の長さ別に紹介します。
ミディアム~ロングヘアの場合
着物の時は、アップスタイルが基本です。大切なのは、着物とのバランス。着物の場合は、あまりボリュームは出し過ぎない方が良いです。エレガントな夜会巻きや低めの位置でシニヨンを作るなどがおすすめです。
ショート~ボブの場合
ショートやボブなど髪が短くまとめ髪にできないなら、髪飾りを使うのがおすすめです。サイドの髪をピンで留めてスッキリさせて、髪飾りを添えるとおしゃれに仕上がります。ウィッグを付けてシニヨンを作っても良いでしょう。
結婚式に着物を着る時はマナーを守ってふさわしい立ち振る舞いを
着物にはさまざまな柄や色があり、合わせる小物によっても与える印象は異なります。決まりごとが多く難しそうに聞こえますが、基本のマナーさえ押さえておけば上品で華やかな着物は、お祝いの場にぴったりの装いです。大切な人の結婚式ではきちんとマナーを守って、自分の立場にふさわしい着物で祝福の気持ちを伝えましょう。