〈監修者紹介〉
小柳衣吏子(こやなぎえりこ)
アオハルクリニック院長
皮膚科医、美容皮膚科医
1998年順天堂大学医学部卒業後、同大学病院勤務を経て、2011年アオハルクリニック院長に就任。 日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本美容皮膚科学会会員、日本抗加齢医学会専門医。「見た目の美しさにはカラダの中の健康が欠かせない」と訴え、男性・女性問わず、お肌の健康と美しさの改善・維持・向上を真剣に求める方々から、多くの共感をあつめている。著書に『美肌の王道』日経BP社
手の皮膚の特徴って？何で乾燥したり荒れやすいの？
実は顔と同じくらい肌年齢が出やすいパーツが手元。乾燥でカサカサしたり、荒れやひび割れが出やすい理由とは？手の皮膚特有の特徴をお伺いしました。
■皮脂腺が少なく乾燥しやすい
手はよく使うのに顔などに比べて皮脂腺が少なく乾燥しやすい部位。顔は毛穴から分泌された皮脂が皮脂膜となり、肌のうるおいをキープするのですが、手は皮脂腺が少なく、その機能が弱い部位です。
■角層が厚く、傷が治りにくい
手は、機能的必要性から皮膚の角層が分厚いのが特徴。顔の角層はだいたい10層ほどなのに対し、手の甲は14～15層、手のひらにいたっては50層以上あると言われています。その分肌のターンオーバーに時間がかかるため、例えば傷ができたときなどは、顔よりも手の方が治るのに時間がかかることもあります。
■一年中露出しているためダメージを受けやすい
手は基本的に季節を問わず露出しているため、紫外線のダメージを受けやすい部位です。紫外線は、しわやたるみ、しみやそばかすの原因になるだけではなく、角層の保湿力を低下させ、カサつきやキメの乱れなどの原因にも。また水仕事やパソコン仕事をしたり、アルコール消毒液などに触れたりと、外部からの刺激にさらされる機会が多いことからも、荒れやすい部位です。
■顔に比べて、ケアが重視されていない
顔のお手入れは毎日化粧水や美容液、乳液などでしっかり行っていても、ハンドケアはあまりしていないという方も多いのでは。手は顔と比べてケアを重要視していない方が多く、顔よりも早く老化現象が目立つことがあるとも言われます。手を洗ったらしっかり拭き取る、こまめにハンドクリームを塗るなど、日々のちょっとしたケアが大切です。
普段の生活で注意したいポイント
普段何気なくしていることが、実は手の皮膚トラブルや、手を老け見えさせる原因になっていることも。ここでは日々の生活で気を付けておきたいポイントをお伝えします。
■紫外線
手の甲は衣服に覆われていないので日焼けしやすい部位です。特に注意したいのは自転車や自動車に乗るとき。ハンドルを握ると手に紫外線が真上から当たるので、顔よりも紫外線の影響を受けやすくなります。顔に日やけ止めを塗る際には、手にも必ず塗ることを習慣化するといいですね。
ただし、手は頻繁に洗ったりアルコール消毒をしたりするので、少々手間ではありますが日焼け止めも時々塗り直すの必要があります。日焼けによってできたシミやシワは、セルフケアで改善するのは難しいため、日々の心がけで手肌の透明感を保ちたいですね。
■水仕事・手洗い、アルコール消毒
水仕事や手洗い、アルコール消毒などをすると、汚れや菌と一緒に皮膚の水分や油分まで流されてしまい乾燥や手荒れの原因に。肌が荒れやすい方であれば、水仕事の際は手袋をするのがおすすめですが、そこまでできないという方なら、水仕事の後にしっかり水分をふき取って、ハンドクリームで保湿を忘れずに行って。
■熱いお湯を使う
冷たい水＝手荒れの原因、と考えがちですが、実はお湯の方が皮膚にダメージを与えるため注意が必要。特に冬場はお湯を使用する機会が増えると思いますが、水よりもお湯の方が皮膚の油分を奪うため、潤いのバリアを壊す原因となります。手を洗う際や水仕事をするときは、高めの温度のお湯ではなく、ぬるま湯で洗うようにしてみてください。
プロに聞く！ハンドケアのQ&A
ハンドケアに使うおすすめのアイテムやハンドクリームを塗るタイミング、適切な量、おすすめの塗り方まで。知っておきたいハンドケアの基本知識を、小柳先生に伝授いただきました。
Q.ケアアイテムは何を使えばいい？
スキンケアのついでにと、フェイス用の乳液を手にも塗るという方もいらっしゃいますが、手に比べて顔は皮脂腺が多くて角層が薄いなど、皮膚の構造が違うので、手のお手入れにはハンドクリームを使うのが正解。手に塗るためのクリームとしてメーカーが研究して作っているため、水に強く長く保てたり、皮膚の厚さに合わせて成分を配合したりしているので、専用のものを使うのがおすすめです。
Q.量はどのくらい塗るのが正解？
A. たっぷりと塗ることでしっかり保湿効果を感じられます
ハンドクリームの効果をしっかり感じるためには、適量を守ることが大切。1回に使う量としては、人差し指の指先から第1関節までの長さを目安にするとわかりやすいと思います。よく、「どういう状態だと、ちゃんと塗れていることになるのですか？」と聞かれるのですが、目安としてクリームを塗った後の手にティッシュペーパーを置いて、落ちないくらいのイメージです。「ベタつくのが嫌だから、少ししか塗らない」という人も多いのですが、使う量が少ないとせっかくの保湿効果が期待できないこともありますから、適量をしっかり塗りましょう。
Q.ハンドケアをするタイミングは？
手指が乾燥している方は手を洗うたびに、手の水分を拭き取ったらすぐにたっぷり保湿が◎。意識してこまめに塗ることを習慣にしてください。特に、空気が乾燥する秋冬は手も乾燥しやすいので、バッグにハンドクリームを入れておき、外出先でも意識して保湿を。手の乾燥を感じていない方でも、朝晩のお顔のスキンケアのときにハンドケアも一緒に行うといいですね。
Q.おすすめの塗り方は？
A.マッサージをしながら指先や爪までしっかり浸透させて
手の甲などの広い部位だけで終わらせるのはNG。指先や爪の周りなどももれなく塗るために、指の一本一本をマッサージするように、丁寧になじませることを意識して。
【1】まずは手を洗って清潔な状態にした後、しっかりと水分をふき取る
【2】適量（人差し指の指先から第1関節までの長さが目安）のハンドクリームを取る
【3】手のひら同士を軽くこすり、ハンドクリームを温める
【5】指の付け根から指先に向かって、1本1本マッサージしながら塗り伸ばす。
【6】指の腹を使って爪の周りを優しく押しながら、一本ずつ丁寧にマッサージ
ハンドケアのポイントはクリームを指先までくまなく塗ること。ささっと塗るだけではなく、マッサージをしながら時間をかけてなじませることで塗り漏れもなくなるのでおすすめです。また、マッサージを入れることで血流が良くなるので、肌表面の色も明るく変わってきます。
Q.ハンドクリームは何を選んだらいい？
A.大事なのは習慣化。自分に合うものを見つけることが大事
ハンドケアで大切なのはこまめに塗ることと、毎日の習慣にして続けること。クリームは高級なものでなくてもいいので、自分が使いやすいものやモチベーションが上がるものを選ぶのがおすすめ。例えば、自分が好きな香りだったりデザインだったり、何でもよいのですが、使うたびに楽しい気持ちになれるアイテムなら、日々のケアに取り入れやすいですよね。テクスチャーにしても、濃厚タイプが使いにくいという方なら、デイリーケアはサラリとしたものを選んで、夜だけこってりしたものにするなどタイミングによって変えてもOK。成分にこだわるのもいいのですが、それよりは、毎日使いたいと思えるもの、自分が使っていて心地よいものを選ぶことが一番大事です。
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正しくケアした美しい手でジュエリーを楽しんで
ジュエリーは肌に直接身に着けるもの。ベースとなるあなたの手元が美しいと、ジュエリーの輝きも引き立ちます。ジュエリーにこだわるように、ぜひ日ごろからのハンドケアも大切にして、華やかな手元を完成させてください。
