結婚式における仲人の役割や意味とは?立てる必要性やパターン別の頼み方も紹介
仲人とは、両家の架け橋となり、結婚にまつわることをトータルでサポートしてくれる頼れる先輩のような存在。かつては結婚においては欠かせない存在でしたが、近年では少し事情が変わってきています。今回は、仲人の役目、必要性とメリット、そして立てる場合の依頼の流れと、手紙や電話で依頼する際にそのまま使える例文を紹介します。
結婚のサポートをしてくれる仲人とは?両家との関係と役割
仲人(なこうど)は両家の間を取り持つのが主な役割ですが、実際にどこまでのお付き合いになるのでしょうか。仲人の役割と、混同されやすい媒酌人(ばいしゃくにん)との違いを解説します。
両家の架け橋となるのが仲人の役目
仲人とは、婚約から結婚式に至るまでの結婚に関するさまざまな場面で、新郎新婦をサポートし結婚の仲立ちをする人のことを言います。古くから、結婚は新郎新婦ふたりだけの問題ではなく、家と家との結びつきと考えられてきました。そのため、仲人も新郎新婦の相談に乗るだけでなく、両家の間を取り持ち結びつけるための架け橋となる役割を担っています。
具体的には、結納の進行や披露宴での挨拶なども仲人の仕事となるケースも。そして結婚後も良きアドバイザーとして、ふたりを見守ってくれます。
仲人と媒酌人の違い
婚約から深い関わりを持つ仲人に対し、結婚式当日のみ、新郎新婦の紹介をしたり祝杯の発声をしたりと、式が円滑に進むよう取り仕切ってくれるのが媒酌人です。頼まれ仲人と呼ぶ場合もあります。
ただし、仲人が引き続き結婚式当日も世話をしたり、友人に司会をお願いしたりすることもあるので、晩酌人は立てないことも珍しくありません。また最近では、本来は媒酌人の役目を担う人をを仲人と呼ぶ場合もあるので、立てる場合はどの範囲までお願いしたいのかしっかり伝えることが大事です。
結婚式に向けて仲人は立てるべき?メリットと注意点
結婚準備において、仲人を立てるべきかどうかはよく上がる議題のひとつ。仲人は必要なのか、昨今の事情や、立てる場合のメリットと注意点を紹介します。
仲人は立てなければならない?
仲人は古事記や日本書紀に出てくる「仲立ち」という言葉が起源となる、日本の古くからの風習です。かつては仲人を立てることは当たり前でしたが、考え方やライフスタイルの移り変わりにより、立てるカップルは少なくなってきました。必ずしも立てなければいけないわけでないので、ふたりの意志で決めて構いません。例えば、しきたりを重んじたい、伝統的な結婚式をしたいというカップルは、仲人を立てることも視野に入れて話し合うのがおすすめです。
また最近では、結婚相談所のスタッフが出会いから結婚式までサポートしてくれるなど、仲人の代わりとなって世話をしてくれるケースもあるので、お願いするのも良いでしょう。
仲人を立てるメリット
両家の間で意見の食い違いが起こったり、トラブルが起きたりした場合には、仲人が間に入って両者の意見を聞き、調整を行うなど心強い存在となってくれます。他にも結婚に関する悩みや困りごとを気軽に相談でき、第三者としての冷静な意見や、結婚生活の先輩としてのアドバイスがもらえるのが大きなメリットです。
立てる場合に気を付けること
結納や結婚式に出席してもらった場合には、仲人に「お礼」を渡すのがマナーです。費用がかさみやすいので、予算が厳しいと負担に感じることがあるかもしれません。また、結婚後も定期的なやりとりや長い付き合いが続くこともあり、心強い反面、わずらわしさを感じる場合もあるのが考慮しておきたい点です。
仲人を立てる場合の依頼の流れとマナー
仲人を立てることに決めたら、なるべく早く依頼するのが先方への配慮です。仲人の選び方から依頼の仕方、結婚式が終わった後の付き合いまでを、流れに沿って紹介します。失礼のないよう知っておくべきマナーもあるので、目を通しておいてくださいね。
①仲人を選ぶ
ふたりの良き理解者である人を選ぶのが、仲人選びの重要なポイント。不安ごとのある人は避けるのがベターです。周りからの人望や信頼がある人なら安心して任せられるでしょう。一般的には、会社の上司や学生時代の恩師、親戚などに頼む人が多いです。
②仲人を打診する
先方の都合を考え、なるべく日にちに余裕を持ってお願いしましょう。結納や結婚式の3カ月前くらいには承諾を得ておくと、準備もスムーズに行えます。
依頼する際は、まずは手紙や電話などで打診して了承を得てから、正式にお願いに出向くのが基本です。
③正式なお願いに出向く
正式なお願いは、ふたりで先方の自宅などに出向いて行います。ふたりの親も同行するとより丁寧とされていますが、大人数でおしかけるとかえって迷惑になることもあるので、両家で話し合って決めてください。
当日は、スーツなどフォーマルな服装で向かうのが無難です。持参する手土産は、だいたい5000円くらいが相場となっています。
④お世話になったら「お礼」を渡す
結納や結婚式に参加してもらったら、その後に感謝をこめて「お礼」を渡すのがマナーです。
「お礼」の包み方は、金銀の「結び切り」または「あわじ結び」の水引が付いたご祝儀袋に、「御礼」もしくは「寿」と表書きするのが一般的です。金額は地域によって異なりますが、おおよその目安は以下を参考にしてください。
【仲人に渡す「お礼」の目安】
- 略式結納の場合:結納金の1程度(約10万円)
- 正式結納の場合:結納金の1~2割程度(約10~20万円)
- 挙式・披露宴後:祝儀の2倍(約10〜30万)
- 結納と披露宴どちらも出席してもらった場合:祝儀の2倍+結納金10%(約20~40万円)
必要に応じて、別に「お車代」(実費の2倍程度)と菓子折りを添えます。渡すタイミングは、結納・披露宴が終わった後など当日に渡すのが最近では主流です。より丁寧にお礼を伝えるなら、後日改めて先方の自宅などに出向くと好印象です。
⑤結婚後も礼儀を忘れない
結婚式が済んだ後も、新婚旅行のお土産を渡したり、お中元・お歳暮・年賀状などのやりとりをしたりと、仲人とは定期的なお付き合いをするのが礼儀です。ただし長く続きすぎても、お互いの負担になってしまうことが考えられます。
例えば媒酌人(頼まれ仲人)の場合は、3年目くらいのお歳暮に手紙を添えて、それとなく区切りを伝える人が多いようです。どのような付き合いを続けていくべきか、事前に親も交えて話し合っておくとトラブルを防げます。
【手紙・電話】仲人の頼み方・例文
仲人をお願いしたい人に、手紙や電話で打診する際の伝え方と例文を紹介します。気持ち良く引き受けてもらえるよう、ここでも気配りは大切にしましょう。
依頼の際に伝えるべきこと
依頼の際に、必要な情報をしっかり伝えておけば誤解が生まれません。以下の要点を参考に、内容を考えてみてください。
- 結婚が決まり、仲人を頼みたいこと
- 結納から世話になりたいのか、結婚式当日だけお願いしたいのか
- 結納や結婚式の日時・場所
- 結婚相手の大まかなプロフィール
手紙で頼む場合の例文
仲人の打診を手紙で行う場合に、そのまま使える例文がこちらです。
拝啓
早春の候 益々ご清祥のこととお喜び申し上げます
さて 先日お話しした通りこの度 私は◯◯さんと結婚する運びとなりました
結納は令和△年△月 挙式は令和△年△月に執り行う予定です
つきましては 長年お世話になっております部長ご夫妻に ぜひ私どもの仲人をお願いしたいと存じます
ご多用のところ私事でお願い申し上げ誠に恐縮ですが お引き受けいただければ幸いに存じます
ご承諾いただけましたらご都合の良い日に改めてお伺いしたいと思っておりますが
まずは書面にてお願い申し上げます
敬具
なお、目上の人に出す場合は、「拝啓―敬具」の代わりに「謹啓―謹白」を使用すると、より敬意が表せます。
電話での頼み方
電話で打診する場合は、電話をかける時間帯に注意が必要です。なるべく午前9時〜午後8時を目安に、失礼のない時間にかけるよう気を配りましょう。加えて携帯電話にかけるときは、相手は出先にいる可能性もあるので、始めに「折り入ってご相談があるのですが、今お時間よろしいでしょうか」と確認をとると迷惑をかけません。頼み方は以下の例文を参考にしてください。
電話で頼むときの例:「実はこの度、結婚することになりました。結婚式は○月頃に行う予定です。お忙しいところ恐縮ですが、私どもの仲人を、ご夫婦でお引き受けくださいませんでしょうか?」
ふたりの支えとなる仲人、立てるかは両家で十分話し合って
慣れないことが多々ある結婚式に向けての準備。そんな時に心強い味方となってくれるのが仲人です。最近ではコンパクトな結婚式を望むカップルも増え、減少傾向にありますが、重要な役割を担う存在であることに変わりはありません。立てるべきかどうか、パートナーや家族としっかり話し合ってくださいね。そして仲人という大役をお願いする先方には、十分配慮して良好な関係を築いていきましょう。