SEARCH

コラム

2024.01.25

婿入りとは?婿養子との違い、手続きや知っておきたいメリット・デメリットを解説

  • facebook
  • twitter
  • LINE

婿入りとは結婚後に夫が妻の名字を名乗ることです。妻が夫の名字を名乗る嫁入りが多い中、さまざまな理由から婿入りを選ぶ人もいます。本記事では、婿入りの定義や実際に婿入りする人の割合、必要な手続き、メリット・デメリットを解説します。婿入り婚を考えているカップルは参考にしてみてください。

婿入りとは

結婚指輪を着ける夫婦
婿入りは、妻が夫の名字を名乗る結婚とは逆の結婚のスタイルです。まずは婿入りの意味や婿養子との違いを見ていきましょう。

夫が妻側の名字を名乗ること

婿入りとは、結婚して戸籍を作る時に妻が戸籍筆頭者になり、夫が妻側の名字を名乗ることです。夫が戸籍筆頭者になり、妻が夫側の名字を名乗る嫁入りとは反対の結婚スタイルです。婿入りでは、妻の家族と同居して結婚生活を送ることが多い傾向にありますが、親と同居しなければいけないという条件はありません。

婿入りと婿養子との違いは養子縁組届の有無

結婚の種類 必要書類 妻側の親の扶養義務 相続の可否
婿入り 婚姻届 なし できない
婿養子 婚姻届
養子縁組届
あり できる
婿入りは婚姻関係のみを結ぶもので婚姻届が必要になり、婿養子では養子縁組の手続きも必要です。婿入りは夫婦の間だけの関係である一方、婿養子は妻側の親にも影響してきます。
▼同月リライト記事「婿養子」

婿入りの実情は?割合や理由をチェックしておこう

ハートサインのベンチに座る男女
実際に婿入りした人の割合と、その理由をデータをもとに紹介します。

婿入りの割合は全体の5.5%

2018年にマイナビウーマンが既婚者780人を対象にしたアンケートによると、婿入り婚は全体の5.5%で、婿入りをする人は少数派。まだまだ嫁入り婚をしている人が大多数との結果になりました。

内閣府の男女共同参画局が発表した「夫婦の姓に関するデータ」によれば、妻の姓を選択する人が1995年は2.6%であったことを鑑みれば、年々増えていることがわかります。

婿入りする3つ理由

婿入り婚をした人の理由は、大きく分けて3つあります。 
・妻の家の都合
・夫の家の都合
・国際結婚をした都合
妻の家の都合で婿入りする場合は、妻側が一人っ子あるいは姉妹のみである、跡取りがいなくて家系が終わってしまう恐れがあるなどが理由にあげられます。妻の実家が資産家であったり、お墓を守るためだったりなど、さまざまな理由で家系を存続させたい時に、婿入りを希望するようです。
夫の家の都合で婿入りする場合は、家系を引き継ぐ必要性を感じていないという理由があげられます。他にも配偶者が外国人で国際結婚をした場合は、移住先で発音しやすいように名字を変えるケースも。慣習にとらわれずに、お互いに婿入り婚の選択が最善であると考えて判断をしている夫婦も少なくありません。

婿入りの手続き

サインをする男性の両手
婿入りする際に必要な手続きや流れを解説します。嫁入りと違って、手順や内容が逆になるため、注意が必要です。どこが違うのかチェックしながら見ていきましょう。

①両家の親へ報告

結婚するふたりの意思が固まったら、双方の親へ報告しましょう。報告する順番は、最初に妻側の自宅に訪問し、次に夫側の自宅に訪問するのがベター。もし、順番通りに行けない場合は、あらかじめその旨を伝えておくと安心です。
報告は直接ふたりの実家へ挨拶するのが一般的とされていますが、両方の実家と相談して家よりお店の方が都合が良い場合は、食事会を兼ねて近場のお店を予約すると良いかもしれません。

②結納

結納は婚約を成立させる儀式のことです。婿入りのケースでは妻側から夫側へ結納金や結納品を送り、夫側から結納返しをします。一般的なマニュアルは嫁入りがベースで作られており、婿入りでは座る位置や手順がすべて男女逆となるので注意が必要です。
結納金は、嫁入りでは100万円が相場とされる一方で、その2〜3倍の金額が婿入りの相場とされています。地域性やお互いの経済面の関係もあるため、結納場所や結納金の受け渡しも含め両家で話しあっておくと良いでしょう。

③婚姻届の提出

ふたりの婚約が成立したら、役所へ婚約届を提出しましょう。婚姻届の書き方で嫁入りのケースと違うのは、「婚姻後の夫婦の氏」欄で「妻の名字」を選ぶことです。婿入りの場合は戸籍上の筆頭者は妻になります。

婚姻届を出したら、新しい戸籍が作られて、ふたりは晴れて夫婦となります。

婿入りのメリットとデメリット

腕組みをしている男女
婿入りは一般的に少数派であるため、周りに悩みを打ち明けられない人もいるのではないでしょうか。ここでは、婿入りするメリットとデメリット、それぞれ3つ挙げています。婿入りするか迷っているカップルは参考にしてみてください。

メリット①嫁姑問題が発生しにくい

夫側の親から妻側への口出しが少なくなり、嫁姑問題が起こりにくくなります。姑と妻との間に距離が生まれ、夫は間に挟まれることはないでしょう。妻が夫側の家族の集まりなどへ行く責任感やプレッシャー、夫の家族への気疲れは少なくなるかもしれません。家庭によっては面倒ごとが発生しかねない付き合いが減り、嫁姑問題が発生しにくくなるでしょう。

メリット②妻側の家から迎え入れてもらいやすい

一般的な嫁入りと違い、婿入りは妻側の家族の願いであることも。待望の存在であるため、大事にされやすくなるでしょう。特に妻が一人っ子の場合や姉妹しかいない場合は、後継ができるため歓迎してもらえるかもしれません。

メリット③妻の親を扶養する義務はない

養子縁組をする婿養子とは違い、婿入りは夫婦の戸籍ができるだけなので、妻側の親と親子関係がなく、夫には妻の親を養う必要はありません。妻の親への仕送りや介護をする必要がないため、生活支援が必要になっても夫は断ることもできます。ただし、血縁関係にある実親の扶養義務が残っていることは念頭におきましょう。

デメリット①夫の名義変更が煩雑になる

夫の名字変更にともない、名義変更が必要な書類がいくつかあります。一般的には運転免許証、銀行口座の名義、クレジットカードなど。名義変更の手続きには時間がかかるものもあります。名義変更の漏れがないように、事前に調べておくと安心です。なお、妻が名字変更をする場合でも同様の手続きが必要です。

デメリット②妻の親からは遺産相続ができない

婿入りでは、妻の親からの遺産を相続する権利は発生しません。妻側の遺産を相続したい場合は妻の親と養子縁組をする必要があります。ただし、妻側の親から遺言書に夫に相続させる旨が書かれていたら相続は可能です。

デメリット③妻側の家族の目を気にしてしまう

夫が妻側の家族との良好な関係を築こうと、気を遣ってしまうかもしれません。夫が周りの目を気にして、関係性に悩む可能性もあり、本音を言い出しにくいことも。疲れない程度に距離感を保ちつつ、夫の精神面のケアを兼ねた夫婦間のコミュニケーションを取っていきましょう。

婿入りを理解して、パートナーや家族としっかり話し合おう

マグカップを持ってくつろいでいる男女
婿入りは、妻が戸籍の筆頭者になり、妻側の名字を名乗ることです。現在は少数派である婿入りを選ぶ人にはさまざまな理由があります。結婚は人生でも大きな決断のひとつです。婿入りのメリットやデメリットを理解した上で、パートナーや家族と納得のいくように話し合いをしてみてください。

RELATED