ピンクダイヤモンドは「奇跡の石」。価値や魅力、評価基準や選び方を紹介
ピンクダイヤモンドとは、華やかなピンク色のダイヤモンドのこと。カラーダイヤモンドのひとつで、希少性の高い宝石として知られています。「愛」にまつわる石言葉をもつことから、ブライダルリングの宝石として選ぶ人もいるようです。近年、主要な産出地であった鉱山が閉山したことにより、希少性と価格がさらに上昇しています。今回はそんなピンクダイヤモンドの特徴や魅力、カラーによる評価基準、選び方を解説します。
ピンクダイヤモンドとは
ピンクダイヤモンドは産出量が少なく、とても希少な宝石です。まずは、ピンクダイヤモンドの特徴や希少性の高さ、石言葉などの基本情報を紹介します。
カラーダイヤモンドのひとつ
ピンクダイヤモンドは、カラーダイヤモンドのひとつ。名前の通りピンク色の宝石ですが、桜色のような淡いピンクからパープルに近い濃いピンクまでと、さまざまな色合いのものがあります。
カラーダイヤモンドはピンク以外にブルーやイエロー、ブラウン、レッド、ブラックなどが存在し、いずれもその色が濃いほど価値が高いとされます。なお、無色透明であるカラーレスダイヤモンドがわずかにイエローやブラウンがかっているのとは異なり、肉眼で明らかな色が見られなければカラーダイヤモンドとは呼ばれません。
産出されるカラーダイヤモンドは、ダイヤモンド原石全体の2%にしかすぎないとされるため、一般的なカラーレスダイヤモンドよりも希少性が高く、世界中で珍重されています。HPHT(高温高圧)処理によって、色のついたダイヤモンドを無色に近づけたり、違う色に変化させたりすることも可能ですが、天然の色合いの方が高く評価されます。
希少性の高い「奇跡の石」
希少性の高さから「奇跡の石」とも呼ばれるピンクダイヤモンド。カラーレスダイヤモンドに比べると産出量が圧倒的に少ないため、小さなものでも価格は高くなります。2017年のサザビーズのオークションでは、59.60カラットのピンクダイヤモンド「ピンクスター」に約76億円という驚きの価格がつきました。
ピンクダイヤモンドの90%以上がオーストラリアのアーガイル鉱山で産出されてきましたが、2020年に閉山してしまいました。その他にアフリカやロシアの一部でも確認されていますが、産出量はごくわずかです。現段階ではアーガイル鉱山にかわる鉱山が見つかっておらず、希少性は益々高まり、良質なピンクダイヤモンドを求める人が増えると予測されています。
石言葉は「完全無欠の愛」
ピンクダイヤモンドの石言葉は「完全無欠の愛」「永遠の愛」など。「愛」にまつわる意味をもつため、パートナーとの絆を深めるとされています。永遠の愛を誓う結婚にぴったりの宝石のため、ブライダルリングに用いられることもあります。
ピンクダイヤモンドの魅力
ピンクダイヤモンドは、永く愛用できる一生もののジュエリーにぴったりな宝石。具体的にどんな魅力があるのか紹介します。
一生もののジュエリーにふさわしい
ピンクダイヤモンドの華やかな美しさと希少性の高さは、一生もののジュエリーにふさわしいです。フェミニンな印象のピンクは年齢を重ねると身に着けるのが難しそうに感じるかもしれませんが、ピンクダイヤモンドを身に着けられる満足感は格別。どうしても気になる場合は、優しい色合いのものや、アクセントとしてさりげなくセッティングされているものを選べば、違和感なく身に着けやすいでしょう。
華やかさを添えてくれる
ピンクダイヤモンドのジュエリーは、身に着けることで華やかさを添えてくれます。装飾のあまりないシンプルなデザインのジュエリーでも、ピンクダイヤモンドをセッティングすることで上品な輝きが加わります。また、ピンクの色味は肌の色を明るくあたたかな印象にするので、身に着けることで発色の良い美しい肌に見せてくれるでしょう。
ピンクダイヤモンドの評価基準
カラーレスダイヤモンドの品質を判定するのは「4C」と呼ばれる評価基準。ダイヤモンドの重さ(Carat:カラット)、カット(Cut)、透明度(Clarity:クラリティ)、色(Color:カラー)の4つの要素で品質を決めます。一方ピンクダイヤモンドは、カットやクラリティよりもカラーが重視され、フェイスアップ(真上から見た状態)で色の存在を確認するなど、カラーレスダイヤモンドとは異なる方法でグレーディングされます。ここでは、ピンクダイヤモンドの具体的な評価基準についてみていきましょう。
色の彩度と明度
ピンクダイヤモンドは、彩度(色の強さ)と明度(色の明るさ)で9つのグレードに分類され、色味が濃く鮮やかなものが価値が高いとされています。最上級の「ファンシービビッド」以下9分類の名称は下記の通りです。
- ファンシービビッド/非常に鮮やか
- ファンシーインテンス/鮮やか
- ファンシーディープ/彩度は高いが明度が低く深い色
- ファンシーダーク/彩度・明度が低く暗い色
- ファンシー/彩度・明度が十分
- ファンシーライト/やや薄い
- ライト/薄い
- ベリーライト/非常に薄い
- フェイント/ほのかで弱い
明度は「フェイント」が一番高く(色が薄く)、「ベリーライト」「ライト」「ファンシーライト」「ファンシー」「ダーク」の順に明度が低くなります。また、「ファンシー」「インテンス」「ビビッド」へと向かうほど彩度が高く色鮮やかになり、評価が高くなります。
色のトーン
ピンクダイヤモンドは、色のトーン(色調)によって下記の4種類に分けられます。
- ピンク/通常のピンク
- パープリッシュピンク/紫がかったピンク
- ブラウニッシュピンク/茶色がかったピンク
- オレンジッシュピンク/オレンジがかかったピンク
「ピンク」は評価が高く人気がありますが、「パープリッシュピンク」も希少性を理由に評価が高いです。一方、アフリカの一部で採掘される「ブラウニッシュピンク」「オレンジッシュピンク」は、上記の2種類と比較すると評価は低い傾向にあります。
ピンクダイヤモンドの選び方
ピンクダイヤモンドに限らず、ジュエリーを選ぶ時は実物を見て決めるのがおすすめです。しかし、近くにショップがなかったり、気になる石を取り扱っていなかったりすると、オンラインショッピングで購入せざるを得ない場合もあるでしょう。そんな時のために、ピンクダイヤモンドの選び方について紹介します。
鑑定書(グレーディングレポート)を確認してから選ぶ
ピンクダイヤモンドに限らず、ダイヤモンドの埋蔵量には限界があります。また、採掘を行う上での環境破壊や過酷な労働条件などもクローズアップされてきています。こうした問題を改善する方法のひとつとして関心が集まっているのが合成ダイヤモンドです。大手ダイヤモンド販売会社のデビアスが合成ダイヤモンドを使用したジュエリーブランドをスタートさせたことからも、注目度の高さが窺えます。
天然ダイヤモンドと同じ化学組成や物理的特性をもつ合成ダイヤモンドは、宝石鑑定士であっても目視で区別することは難しいと言われています。もちろんジュエリーショップが合成ダイヤモンドを天然ものとして出してくるようなことはありませんが、ダイヤモンドの購入を検討している時は、必ず鑑定書(グレーディングレポート)の確認を行ってください。
世界で最も信頼度の高い鑑別機関のひとつであるGIA(米国宝石学会)では、鑑定書に「人工(man-made)」や「ラボで製造された(lab-grown)」ダイヤモンドであることが記載されています。その他の機関が発行した鑑定書も同様に、天然ダイヤモンドではないことが明記されているはずなので確認してみてください。現物を直接見られないオンラインショッピングの場合は、鑑定書の提示を求めましょう。
品質にこだわるなら彩度の高いものを選ぶ
繰り返しになりますが、ピンクダイヤモンドは非常に希少性の高いダイヤモンドです。そのため、ある程度の大きさがあるものはもちろん、メレと呼ばれる0.1カラット以下の小さなものでも、わずかな色の違いで価格に大きな差が出ます。
一般的に、ピンクダイヤモンドを選ぶなら彩度の高い「ファンシー」「ファンシーインテンス」「ファンシービビッド」が望ましいとされています。色相は「ピンク」または「パープリッシュピンク」が人気。クラリティグレードよりもカラーの方が優先される傾向です。
婚約指輪や結婚指輪など、ふたりの記念になるブライダルリングなら、ピンクダイヤモンドのグレードにもこだわりたいもの。予算の許す限り、色が濃く彩度の高いものを選んでくださいね。
ピンクダイヤモンドの華やかな輝きを楽しんで
ピンクダイヤモンドは華やかさと、周囲に差をつける希少性が魅力。一生もののジュエリーにぴったりの宝石で、「完全無欠の愛」という石言葉からブライダルリングにもふさわしいと言えます。永く愛せる宝石として、ピンクダイヤモンドのジュエリーを身に着けてみてはいかがでしょうか。